ミヤ(MUCC)SPECIAL INTERVIEW -後編-

3月 31, 2024

 

デビュー当時のビジュアル系というイメージにはもはや収まりきらない、唯一無二の音楽性と世界観を追求しているMUCC。そのギタリストであるミヤのスペシャルインタビュー。後編では結成25周年を経てもなお、新たなチャレンジに取り組み続けるバンドの今後の展望について語ってもらった。

 

その人がそこにいるだけでもうOKってなるようなギタリストになりたい

 

― さて、MUCCの直近の活動について教えていただけますか?

結成25周年のアニバーサリーをしっかりとやらせてもらったんですけど、ライヴも年間100本ぐらいやったので、今はお客さんもうちらもしっかり休もうかっていう感じです(笑)。ツアーファイナル〈MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End to「Timeless」&「WORLD」〉と地元の水戸LIGHT HOUSEのカウントダウンライヴ〈MUCC THE END OF 25th COUNT DOWN FAMILY PARTY -逝く年 狂年 Lightの宴-〉で25周年のアニバーサリーを締めくくって、6月9日から始まる〈MUCC 2024年TOUR〉までライヴはないんですけど、6月にシングルをリリースします。そのレコーディングは終わっていて、わりと90年代回帰を思わせるサウンドになっています。珍しく6弦ギターをメインに弾きました。その時、PRO PLUS SERIES DINKY® MDK HT7はすでに手元にあってカップリングで使わせてもらったんですけど、AMERICAN SERIES VIRTUOSOがあったら表題曲に使えたなって、今日弾かせてもらって思いました(笑)。ずっと同じリフを弾いている、リフものの曲なんですよ。

 

― 結成25年周年を迎え、改めてどんな感慨がありましたか?

そんなに長くやってきたという感覚はないんですけど、周りを見ても25年やっているバンドってそんなに多くないから、客観的に見たらやっぱりすごいことなんだろうなと改めて思いますね。ギタリストとしては、そこまで強いこだわりはないというか、むしろ楽曲を作ることにモチベーションを持っているタイプなので、いまだにギタリストとして新たな発見が多くて。プレイの仕方もそうだし、機材との向き合い方もそうだし、今本当に楽しいです。新しい楽器と出会うことが楽しいんですよ。それはギターに限らず、エフェクターもアンプもそうなんですけど、今回のジャクソンも含め、いまだに新たな出会いがあるので。新しい出会いって刺激になるんですよ。それまでとは違う頭を働かせて、行動を起こすきっかけになるのがいいですよね。

 

― ギタリストとして強いこだわりを持たなかったからこそ、現在の多彩なプレイにつながっているのではないと思うのですが。

リズムギターに重きを置いているとは自分で思っているんですけど、彩りを楽曲に加えるギタリストでありたいという意味ではそうかもしれないですね。でもこの間、久しぶりにリンプ・ビズキットのライヴを見にいったら、ウェス・ボーランド(Gt)がジャクソンのVシェイプのギターを使っていて、けっこうハウらせていたんです。それがカッコ良くて、その王道な感じは40歳を超えた今見つめ直してもいいのかなって、ウェスがあの年齢(49歳)で回帰してきているのを見てちょっと思いました。

 

― ギタリストとして、さらに幅が広がっていきそうですね。

いびつなこととか、変わったこととか、突拍子のないことをわりとやってきたので、そこに王道の貫禄が加わったらもっと説得力が出るのかな。ライヴっていろいろあるじゃないですか。会場の雰囲気とか、キャパとか、そういうことに関係なく、その人がそこにいるだけでもうOKってなるようなギタリストにはまだなれていないから、なりたいとは思います。

 

Miya Mucc Special Interview 2B

 

― バンドとしては結成25周年を経て、どんな展望を持っていますか?

やっている期間も長いし、活動も止めてないし、毎年アルバムを出しているから楽曲数も多いんですけど、バンドとしては新しいアイディアがどんどん出てきているんです。さっき言った90年代回帰がすごく面白くて、やってみてわかったんですけど、自分のルーツミュージック、例えばBOØWYをはじめ自分が思春期だった90年代に聴いていた80年代の音楽を含め、バンドとして開けてこなかった引き出しが意外とあるなって。今はそこと向き合うのがとにかく楽しいです。それをやると、当時を知っている30~40代のレンジの人は“あ、懐かしい。この感じ”となると思うんですけど、その下の世代には新しい音楽に聴こえるんですよ。それが今ちょうどハマるというか、バンドもチームもちょうどサポートメンバーも含め、50代、40代、30代、20代がいるんですよ。あ、社長も入れたら60代もいるのか(笑)。だから、その全年代の意見を聞きながら作っていくんですけど、それぞれの意見が違っていて楽しいんです。若い頃って、やっぱり自分が影響を受けた音楽って出そうとしてこなかったというか、あえて公言せずにディープなファンだけ知ってるくらいでいいと思っていたんですけど、逆に今は親子連れのお客さんも多いから、親子間で音楽を共有してもらえるのがすごく嬉しいですよね。バンドもそういう年齢だし、そういう年齢なりの楽しみ方をできるようにやっていきたい。だからって、新しいものにチャレンジしなくなるわけじゃなくて、新しいものへのチャレンジの仕方が前よりも幅広くなった感じですね。

 

― そのチャレンジが6月にリリースするシングル以降の曲に反映されていくわけですね。

そうですね。90年代の音楽の影響がやっぱりでかいので。ただ、MUCCの初期って洋楽にどっぷりハマってから以降の表現なんです。ニューメタルが全盛だったアメリカの97~99年頃の影響をめちゃめちゃ受けているので、それも出していきつつ、それよりも前の90年代のJ-POPの影響も出していきたい。あの頃って、いい曲がすごく多かったじゃないですか。20年前、30年前の曲なのに普通に歌えますからね。MUCCもそうなっていきたいし、そういう曲を作っていきたいし、その時だけで風化しちゃう感じにはなりたくないんです。

 

69日から始まるツアーの意気込みを聞かせてください。

新しいシングルを持って、各地を廻ります。去年、過去リリースしてきたアルバムの再現ツアーを4本ぐらいやったので、今回は新曲をシンプルに聴いてもらって、新しい感じを見せていこうと思っています。メンバー全員、乗りに乗っているので、めちゃめちゃいいツアーになりますよ。

 

― 最後に、ギター初心者にアドバイスをお願いします。

好きな曲をひたすら弾いてください。好きな曲を弾くことによって自分はテクニックを学んできたので、教則本なんて見たことないんですよ。当時はCDプレーヤーがあって、この曲の、この10秒間を1日中繰り返し聴きながら弾けるようにして、1〜2ヶ月かけて1曲マスターするってことをやってたんですけど、今、そんなことはやらないじゃないですか。YouTubeを見れば弾き方を教えてもらえるから。でも、好きな曲を弾けるようになりたいと思う気持ちには何も敵わないと思うんですよ。あと、“この練習をしておけば後々役に立つよね”みたいな考えは俺にはなかったです。効率のいい練習はロックギターには必要ない。同じことを長い時間かけて弾くことと、友達と遊ぶことをちょっと我慢する。それをやるかやらないかで社会に出てから成功するかしないかが決まると思うんですけど、俺はちょっと遊んじゃったタイプなので(笑)。本当にギタリストになりたいと思うんだったら、ひきこもれと言いたいです。飯も食わずにギターを弾け。それに尽きますね。

 

Miya Mucc Special Interview 1D

(左)AMERICAN SERIES VIRTUOSO, STREAKED EBONY FINGERBOARD, MYSTIC BLUE

(右)PRO PLUS SERIES DINKY® MDK HT7

 


 

ミヤ(MUCC)

97年、茨城県にて結成。メンバーは、逹瑯(Vo)、ミヤ(Gt)、YUKKE(Ba)。2003年、シングル『我、在ルベキ場所』でメジャーデビュー。2021年10月にSATOち(Dr)が脱退し現体制に。2022年6月、現体制初のフルアルバム『新世界』をリリース。過去のアルバムを中心とした再現ライヴツアー〈Timeless〉を開催。2023年12月には東京国際フォーラム ホールAにて、結成25周年を締めくくるワンマンライヴ〈MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End to『Timeless』&『WORLD』〉を行う。2024年6月にニューシングルをリリース。6月9日からは全国ツアーを開催する。

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